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柴本 泰照
JAERI-Research 2005-016, 127 Pages, 2005/08
高温の融体の表面に注がれる水の沸騰は、融体中に水が侵入することで伝熱面積が拡大することとあいまって、高効率の熱伝達を提供する。本研究は、融体中に水が強制注入される場合(冷却材注入モード)について、融体と水との間の力学的・熱的相互作用を支配する現象を解明し、将来の工業上の応用に資することを目的としている。同現象は冷却材注入モード以外の他の燃料-冷却材相互作用(FCI)の結果として生じることも指摘されており、FCI素過程の解明に資することも期待できる。本研究では、実験的なアプローチとして、高速度撮影中性子ラジオグラフィ並びに新たに開発したプローブを採用し、融体-水-蒸気混相流の可視化と計測を行った。このような手段によっても、実験的に得られる情報には依然として限界があるが、関連現象から得られる知見との比較を含め、実験データの詳細な分析を行った。その結果、本現象の特徴である高効率な熱伝達を安定に達成させる条件について、安定性を支配する因子を明らかにし、その成立条件を示すことに成功した。さらに、本現象のような流体自由表面の移動を伴う現象の解明に有用な、界面付近の速度場・圧力場を界面形状の時間変化から算出する方法を開発した。
三島 嘉一郎*; 日引 俊*; 斎藤 泰司*; 中村 秀夫; 松林 政仁
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 424(1), p.66 - 72, 1999/00
被引用回数:22 パーセンタイル:81.87(Instruments & Instrumentation)高精度計測法としての熱中性子ラジオグラフィの確立に関連して実施した定常熱中性子ビームを用いる高速度中性子ラジオグラフィ開発の現状及び日本原子力研究所と京都大学原子炉実験所が協力して実施した混相流研究への応用をレビューした。このレビューには、高性能マイクロエレクトロニクス機器、高出力研究炉、核融合炉のプラズマ対向機器の冷却系に関連する狭間隙矩形流路及び小口径円管内の断熱空気-水二相流のボイド率測定だけでなく、高密度比の気体-溶融金属二相流、原子炉のシビアアクシデント解析に関連した溶融金属-水相互作用の可視化とボイド率計測を含めた。さらに、高転換軽水原子炉稠密炉心の模擬サブチャンネル内における断熱空気-水流のボイド率に関して新しい実験データを示した。結果として、中性子ラジオグラフィが熱水力研究において有望な可視化計測法であることが実証された。
松林 政仁; 小林 久夫*
第2回放射線シンポジウム講演論文集, p.130 - 135, 1997/10
本報告では、最近開発されたプロトタイプの中性子ラジオグラフィ用中性子ビーム線質計(BQI)を実用に耐えるよう改良を加え、製作した新BQIの概要を紹介する。さらに、本BQIを使用してJRR-3M中性子ラジオグラフィ装置(熱中性子ラジオグラフィ装置及び冷中性子ラジオグラフィ装置)の中性子ビームの線質をフィルム、中性子用イメージングプレート、冷却型CCDカメラ及びSIT管カメラを用いた影像システムにより測定・比較した結果についても報告する。
J.T.Lindsay*; 藤根 成勲*; 三島 嘉一郎*; 日引 俊*; 米田 憲司*; 小林 久夫*; 松林 政仁; M.N.Islam*
Fifth World Conf. on Neutron Radiography, 0, p.571 - 577, 1996/00
ガスタービンエンジンのノズル中に堆積するコーキングは、このタイプのエンジンが最初に製造されて以来問題となっていた。X線を用いた非破壊検査は、このコーキングのような原子番号の大きな物質(金属)中の原子番号の小さな物質(カーボン)の検出には不向きであり、通常は破壊検査により堆積状態の確認が行われていた。中性子ラジオグラフィのコーキング検出への応用は、初期の段階においては中性子ビーム中に含まれる熱外中性子や高速中性子の影響により成功しなかった。後に行われた良質の熱中性子ビームを用いた撮影によりノズルの構造材であるステンレス鋼とコーキングの間のコントラストが増加し、さらに冷中性子ビームを用いることによりコントラストの増加が大きくなることが確認された。
舩橋 達; 白井 英次; 森井 幸生; 古平 恒夫; 高橋 秀武
Journal of Nuclear Science and Technology, 30(8), p.837 - 842, 1993/08
1993年3月1012日水戸で開催された標記シンポジウム(原研主催)の概要を、日本原子力学会欧文誌のConference Report欄に報告するものである。シンポジウムの主題である微視的プローブとしての中性子の役割、基調講演、特別招待講演、パネル討論、6セッションにわたる一般招待講演、約130のポスター発表の各部について概要をまとめた報告である。
松林 政仁; 鶴野 晃
Neutron Radiography,4, p.415 - 422, 1993/00
JRR-3中性子ラジオグラフィ装置はJRR-3の改造を機会に、これまでの経験と中性子ラジオグラフィの研究開発の発展を参考として新たに設計製作したものであり、1991年完成した。現在、特性試験とともに一部の利用が行われている。本装置は熱中性子ラジオグラフィ装置と冷中性子ラジオグラフィ装置から成り、特に前者は2ヶ所の撮影室を持ち、従来から行われてきた高放射性物質の照射後非破壊検査の他に、多種類の試料に対する中性子ラジオグラフィ実験が行えるようになっている。特性測定の結果、熱中性子、冷中性子ともに10n/cm/secを超える高中性子束が得られ、L/Dも100以上、n/比についてもTV法において100以上が得られていることが確認された。これらの結果は本装置が性能において世界のトップレベルにあることを示すもので、特に試料の動態観察に威力を発揮している。本報告においては特性測定の結果を主として述べる。